労働調査概要
1.医療従事者の3人に1人は最近退職検討しているという結果に
2.職務を続ける上で一番の懸念や不安は「感染リスク、対策」で36.1%
【調査概要】
■調査方法:インターネットでのアンケート調査
■調査期間:2021年3月8日~3月10日
■調査対象:医療従事者の男女
■有効回答数:550名
最近退職を検討した医療従事者は33.5%

看護師などに代表される医療従事者に対して最近退職を検討したことがありますか?という質問に対して、
「ある:コロナウイルスの影響」が11.4%
「ある:コロナウイルスの影響とは別の理由」が22.1%
「ない」が66.5%という結果となりました。
2018年(平成30年度)の厚生労働白書(厚生労働省発表)による「医療従事者」の人数は約320万人、アンケート結果をそのまま当てはめると、退職検討者は約107万人いることが想定されます。
簡単に人員の補充が出来ない医療従事者に対して、コロナウイルス対策、補償、高齢化など、医療業界の人員問題への早急な対応が求められることが退職潜在層の数からも伺い知れます。
医療従事者の懸念や不安の第1位は「コロナウイルスへの感染リスク、対策」

医療従事者が働き続けるにあたって懸念や不安においては、やはりコロナウイルスへの感染リスクや対策が最も多い結果となりました。他にも風評被害やコロナウイルスの長期化など継続的な勤務への不安材料があきらかです。
その一方で、「懸念や不安はない」と答えた方は29.5%。
一般の人は医療従事者の方々に頼らざるを得ない状況ですが、医療従事者としての責務や強い意志を感じる心強いとも感じられる調査結果となりました。
医療従事者の退職後の不安は収入や転職先

退職を検討した際に「懸念や不安はない」がもっとも多く31.2%という結果。
コロナ禍であり、また一般的に不況や有事の事態にも強く、給与も比較的安定している医療従事者だからこその結果と言えるでしょう。その反対に50%強の医療従事者は「収入の不安」「転職先」への不安も抱えています。
コロナ禍だからこそボーナスの削減や労働環境において、大阪府高槻市で看護師らのストライキ問題など問題が表面化しています。コロナ禍で労働環境は悪化しているが現場への還元がない状況。病院側も想定外の費用が多く掛かってしまう。どちらにも正義がありますが、現場側も「自分たちのせいで医療崩壊させられない」という気持ちもあるので、いかに行政と病院が連携して医療従事者の労働環境改善に努めていくかがカギとなります。
医療従事者として働くメリットデメリット


医療従事者として働くメリット
- 雇用の安定
- 自尊心
- 経済的安定
アンケート結果は雇用の安定、自尊心、社会貢献、経済的な安定など、医療従事者の特徴が上位にはありますが、1位は「特になし」が33.8%で、コロナ感染のリスクや風評被害など、最近ではメリットが薄くなっていることが見て取れます。
医療従事者として働くデメリット
- 感染リスク
- ワークライフバランス
- 風評被害
デメリットに関してのアンケート結果は、感染リスクが30.4%で最も多い結果となりました。またコロナ関連の理由として、「責任の重さ」や「プライベートの行動制限」では、医療従事者だからこそ感染してはいけないという強い自制心が伺い知れます。またコロナ禍で間違いなく労働環境は悪化しており、プライベートの時間を割いてくださっていることが実態として見て取れます。
医療従事者の労働実態調査まとめ

医療従事者として働き続ける場合の懸念や不安、最近感じるデメリットには感染リスクに伴う内容が大きな割合を占める一方、全体での退職を検討された方は33.5%にとどまっています。
大変な状況ではありながら、前を向いて日々、目の前の患者に向き合い続けている医療従事者の方達には心から感謝の意を表現し、風評被害などは断固として否定、医療従事者の方達がこれからも不安なく働き続けられるよう、制度、補償、様々なサポートはもちろんのこと、病院など接するタイミングでは「ありがとう」の一声が私達に出来る最大のサポートではないでしょうか。
こちらの記事を見て頂いた皆様、私たちが言うまでもないとは存じますが、
お医者様、看護師さんや医療従事者の方へ積極的に感謝のお声がけをするようにしましょう。