労働調査概要
1.有給をある程度自由に消化出来るのは74.3%
2.有給取得に向けた課題の第1位は「人員不足」で40.8%
3.有給取得に向けた有効と思われる取り組みの第1位は「取得しやすい雰囲気を経営側が作る」で44.2%
4.社会的な有給所得に向けた取り組みの具体的なアイデア
【調査概要】
■調査名:中小企業の有給取得に関するアンケート
■調査期間:2021年4月15日~2021年4月17日
■調査対象:全国20~49歳で会社員(男性・女性含む)
■有効回答数:530名
1.有給をある程度自由に消化出来るのは74.3%

あなたは自由に有給取得が出来る職場環境ですか?という質問には、
「自由に取得できる」23.0%
「ある程度自由に取得できる」51.3%
「有給取得推奨日以外の取得は難しい」7.2%
「自由に取得することは難しい」9.6%
「有給を使ったことがない」8.9%
厚生労働省が発表した2019年の就労条件総合調査によると、有給休暇の取得率(付与日数に対する消化日数率)は56.3%で過去最高を記録する一方、「有給取得推奨日以外の取得は難しい」、「自由に取得することは難しい」、「有給を使ったことがない」と回答したのは全体の25.7%で、全体の取得率向上にもまだまだ課題がある状況が伺い知れます。

また管理職、非管理職での回答比率は、
「自由に取得できる」「ある程度自由に取得できる」と回答した
- 管理職:81.1%
- 非管理職:73.6%
管理職の方が7.5ポイント高く、「自由に取得することは難しい」、「有給を使ったことがない」と回答した「管理職」が3.4%、「非管理職」が20.3%で、非管理職の方が16.9ポイント高い結果でした。
管理職は有給取得に積極的に取得することで、他社員が有給取得に動けるようにしていることが見て取れます。ただ現実的には一般社員は管理職の方と比べて有給取得に非積極的もしくは取得しにくい状況が伺えます。
2.有給取得に向けた課題の第1位は「人員不足」で40.8%

有給が取得できない会社の課題について、あなたの体験や考えを教えてくださいという質問には、
第1位が「業務量が多く人員が不足している」40.8%
第2位が「休んだ人の業務をカバーする体制がない」39.8%
第3位が「職場に取得しにくい雰囲気がある」34.5%
人員体制に起因する内容が上位1~2位ですが、有給を取得するための余剰人員を会社が採用するのは難しく、いかに現状の業務量、人員の中で有給を取得出来るようにするか、させるかが課題であることが伺い知れます。
3.有給取得に向けた有効と思われる取り組みの第1位は「取得しやすい雰囲気を経営側が作る」で44.2%

社会全体的な有給取得に向けた有効と思える取り組みについて、あなたの体験や考えを教えてくださいという質問には、
第1位が「有給取得しやすい雰囲気を経営者側が作ってくれている」44.2%
第2位が「年次有給休暇の計画的取得」42.3%
第3位が「年次有給休暇取得率の目標設定」32.1%
第4位が「誕生日や記念日などのアニバーサリー有給取得制度」29.6%
有給取得申請のハードルを下げるために経営側からの働きかけ、取得が当たり前に出来る計画取得の設定が上位回答になり、申請が取得に向けての一番ハードルになっていることが伺い知れます。
4.社会的な有給所得に向けた取り組みの具体的なアイデア
~多数派ではないものの、有効そうな取り組みの回答を抜粋しました~
・給料明細への有給残日数の記載を義務化
・国による有給休暇取得推進のタレントキャンペーン
・週休3日制を導入して有給日数を減らす
・フレックス制の導入
・有給休暇中の証明をすると宿泊施設や交通費の割引が受けられる
・有給申請書を目に見えるところに置く
・優秀な社員は1年間有給とする制度
現在の厚生労働省が展開している「年次有給休暇取得促進特設サイト」では、トップページに季節によって動物が大きく配置されたイメージキャンペーンを展開されています。有給消化を促す内容を動物だけで表現することは難しいかもしれません。「国による有給休暇取得促進のタレントキャンペーン」は、認知度向上や啓蒙活動としては有効に感じます。
有給の取得しやすい雰囲気作りと有給の取得義務の認知活動の両方が必要
有給取得に向けた課題では第1位~第2位が「人員不足」「業務をカバーする体制がない」で、「だから申請しにくい」という自粛状況が伺えます。
経営側から取得しやすい雰囲気を作ることで、有給申請の自粛状況を改善し、取得率の向上が期待出来る一方、有効なアイデアの回答には「法律で取得を定める」が多くありました。
2019年4月より「年次有給休暇取得の義務化」が施行され、年次5日の取得が法律により義務付けられています。
回答者にはこの義務化を知らない人達が多くいることがわかり、このような働き方改革による制度変更について、雇用主からの説明、国からの啓蒙活動がまだまだ社会に対して必要な状況であると言えるでしょう。
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