労働環境調査

【日労公式】「約3人に1人」が自分の職場をブラック企業だと思うと回答「ブラック企業に関するアンケート」結果

ブラック企業に関するアンケート調査

労働調査概要

調査結果トピックス

1. 自身の勤務先がブラック企業だと思うと回答したのは31.2%

2.年代別では20代が33.9%、30代が33.5%、40代が25.9%

3.ブラック企業だと思う定義の第1位は「サービス残業」、第2位は「ハラスメント」

【調査概要】
■調査名:ブラック企業に関するアンケート
■調査期間:2021年6月1日~2021年6日8日
■調査対象:全国20~49歳の会社員
■有効回答数:516名

1.自身の勤務先がブラック企業だと思うと回答したのは31.2%

勤めている会社はブラック企業だと思いますか?という質問には、次の結果となりました。

思う」31.2%

思わない」48.6%

わからない」20.2%

「わからない」も含めると、51.4%が自身の勤務先を「ブラック企業ではない」と否定していなく、「ブラック企業である」もしくは「ブラック企業かもしれない」と考えている様子が伺い知れます。

2014年に連合が実施した「ブラック企業に関する調査」によると、ブラック企業だと「思う」と回答した人は26.9%、「思わない」と回答した人は73.1%でしたが、今回の調査では「思う」と回答した人は4.3ポイント増「思わない」と回答した人は24.5ポイント減(当調査ではわからないの中間設問を用意)でした。

2.年代別では20代が33.9%、30代が33.5%、40代が25.9%

前項の勤めている会社はブラック企業だと思いますか?という質問の年代別比率は、次の結果でした。

思う」と回答・・・「20代」▶33.9% 「30代」▶33.5% 「40代」▶25.9%

思わない」と回答・・・「20代」▶48.3% 「30代」▶41.5% 「40代」▶56.6%

わからない」と回答・・・「20代」▶17.8% 「30代」▶25.0% 「40代」▶17.5%

若い世代ほどブラック企業だと「思う」の回答が多く、上の年代ほど「思わない」の回答が多くなっています。40代は勤続年数が長かったり、役職者だったり、若い世代に比べれば、自身で働きやすい環境を作りやすいと考えられること、また若い世代と上の世代での働き方、特に時間の使い方に関する意識の変化が数字に表れている様子が伺い知れます。

3.ブラック企業だと思う定義の第1位は「サービス残業」、第2位は「ハラスメント」

あなたが思うブラック企業の定義を教えてくださいという質問には、次の結果となりました。

第1位「サービス残業」36.9%

第2位「ハラスメント」17.2%

第3位「長時間労働」15.8%

第4位「残業が多い」13.7%

1位は断然で「サービス残業」でしたが、一方で4位には「残業が多い」の意見があり、残業代が支払われないことを否定する意見と、残業自体を否定する意見がそれぞれ独立しています。

カテゴリ別の内訳比率は、

第1位「労働時間」69.1%

第2位「ハラスメント」29.6%

第3位「休日」19.5%

第4位「給与待遇」17.7%

カテゴリ別にすると「労働時間」が約7割で圧倒的。残業もハラスメントもなく、休日がしっかり取れる会社はホワイト企業だと言えるのではないでしょうか。

4.経験したブラック企業に関するエピソード ※一部抜粋

労働時間

  • 連日信号が点滅するまで働いている
  • 残業代が30分ごとに出るが強制的に29分でタイムカードを切らされる
  • 上司から「サービス残業ではなく思いやり残業だと思って仕事しろ」と言われた
  • 定時8:30~だが7:30迄の出社を強制される

ハラスメント

  • 業務チャットツールの個人同士でのやり取りを管理職が閲覧している
  • 昇格制度について質問をすると昇格には「上に媚びること」と言われた
  • 社内全体会議の司会進行には必ず若手女性社員がアサインされる

休日

  • 有給を使うと周囲から引かれる
  • 休日を取ると出張の移動日にさせられる
  • 上司は土日休みだが自身は平日休みで土日出勤

給与待遇

  • 退職連絡をしたら退職日を迎えるまでに社会保険を解約されていた
  • 残業しなければ終わらない業務量なのに残業するとボーナス査定が下がる
  • 毎日残業休日無しで働いているのに平均月収よりも安い

その他

  • 一時給付金受給のために従業員を休業として届け出ているが実際は業務のために出勤させている
  • 本人が特定されないはずの内部通報制度で本人が特定される
  • ブラック企業大賞に会社がノミネートされたら給与が上がった

労働時間を是正すれば約7割の人が思うブラック要素は消える

今回の調査結果では、会社員が何を会社のブラック要素と感じているのか伺い知れる結果になりました。法令違反、ハラスメント、36協定以上の時間外労働は言語道断ですが、約7割が「労働時間」に関する問題をブラック要素と感じています。

長時間労働の是正は必須の取り組みですが、雇用主側からすれば、残業代を支払うことと、残業自体を抑制することは分けて考える必要があり、固定残業代の導入や残業代を支払うから残業が当たり前とのルールにすれば、残業自体を否定する社員の不満は解消せず、残業自体を抑制すると、ある程度の残業は許容して残業代で給与を増やしたい社員の不満が発生することとなります。

これからの時代、基本給よりお金を稼ぎたい社員に対して、残業による長時間労働で賃金を増やす「基本給+残業」ではなく、成果で賃金を増やしていく「基本給+成果」の制度化が期待されます。残業は出来ないことを前提とした上での仕組み作りこそ、社会全体で取り組むべき労働問題であり、雇用主に求められることではないでしょうか。

日本労働調査組合では、定期的に労働調査結果を発表しています。
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