労働環境調査

【日労公式】ブラック企業辞めたい。約7割が退職を検討。「ブラック企業に関する労働調査」

ブラック企業に関するアンケート調査9月

今回の調査では、自分の勤務先が「ブラック企業だと思う」と回答をした会社員を対象にアンケート調査を行いました。働いている方のみならず、人事/労務担当の方や経営者の方にも見ていただき、従業員の方がどう思って働いてくれているのかを考える機会にして頂ければと思います。

労働調査概要

調査結果トピックス

1. 会社を辞めることを検討していると回答したのは68.7%

2.会社を辞めたい理由の第1位は「給料が安い」、第2位は「従業員を大切にしない」

3.会社を辞めていない辞められない理由の第1位は「転職活動が不安」、第2位は「生活が困窮する」

【調査概要】
■調査名:ブラック企業に関するアンケート
■調査期間:2021年9月9日~2021年9日12日
■調査対象:ブラック企業勤めと答えた全国20~49歳の会社員
■有効回答数:552名

1.会社を辞めることを検討していると回答したのは68.7%

会社を辞めることを検討していますか?という質問には、以下の結果となりました。

はい」が68.7%

いいえ」が31.3%

本年4月に実施した会社員を対象とした調査では35.8%が退職を検討していると回答しており、同調査との比較では32.9ポイント増、自身の勤務先をブラック企業と認識している会社員の退職意向はかなり高いことが伺い知れます。

参考:【日労公式】仕事を辞めたい人は全体の3割強!退職動機に関する労働調査


年代別比率は、「はい」と回答した「20代」が77.8%、「30代」が66.8%、「40代」が61.2%、「いいえ」と回答した「20代」が22.2%、「30代」が33.2%、「40代」が38.8%でした。

年代が上がるにつれて退職意向は低くなる傾向が出ています。一方で20代では約8割が退職を検討していると回答していて、仮に検討者が退職をした場合、5人中4人、10人中2人しか会社に残らない計算になり、労働環境の改善がない限り、人材の流出は免れないと考えられます。

2.会社を辞めたい理由の第1位は「給料が安い」、第2位は「従業員を大切にしない」

会社を辞めたい理由を教えてくださいという質問には、以下の結果となりました。

第1位が「給料が安い」で37.7%

第2位が「従業員を大切にしない」で30.6%

第3位が「仕事量が多い」で28.2%

第4位が「不当な人事評価」で24.3%

本年6月に実施したブラック企業の定義を問う質問では「サービス残業」が断然の1位でしたが、会社をブラック企業と認識している会社員の場合、退職検討理由はサービス残業が第7位で、給料、従業員の扱い、業務量など、その他の理由が多く挙げられています。


カテゴリ別の内訳比率は、以下でした。

第1位が「人間関係:ハラスメント」で24.9%

第2位が「労働時間」で21.7%

第3位が「給与待遇」で17.3%

第4位が「休日」で14.0%

前項同様にブラック企業の定義を問う質問では「労働時間」が断然でしたが、当事者の退職理由としては、長時間労働や残業は前提として折込済(当たり前)になっている様子が伺い知れます。

3.会社を辞めていない辞められない理由の第1位は「転職活動が不安」、第2位は「生活が困窮する」


会社を辞めていない、辞められない理由を教えてくださいという質問には、以下の結果となりました。

第1位が「転職活動が不安」で41.7%

第2位が「生活が困窮する」で38.9%

第3位が「家族を不安にさせる」で19.9%

第4位が「同僚や関係者に迷惑が掛かる」で17.6%

長時間労働により充分な転職活動時間が取れず、収入のない期間が発生することを懸念する様子が伺い知れます。

雇用保険制度によるセーフティネットの更なる周知が望まれる

今回の調査結果では、勤務先をブラック企業だと認識している会社員が退職に対してどのような意識でいるのか伺い知れる結果になりました。

給料が安くて従業員を大切にしないで業務量が多い会社はブラック企業だと判断されるのは当然ではありますが、少なくとも「従業員を大切にしない」と思われている部分は雇用主ですぐに是正すべき内容です。

給料が安くて業務量が多くとも、従業員を大切にしている会社はブラック企業とは思われないのではないでしょうか。

また転職活動不安、生活困窮懸念により退職が出来ないと考えている人は非常に多く、不安から無理な労働環境を継続せざるを得ない場合、心身に影響が出て、今後安定した労働が出来なくなる可能性があります。

雇用保険制度には、自己都合退職であっても、長時間労働の実態や病気の診断書がある場合、特定受給資格者、特定理由離職者という会社都合に相当する内容で失業保険の給付が受けられる制度があります。

同制度に該当する場合、退職に伴うお金の不安は少なからず軽減されるはずで、同制度の更なる周知活動により救われる方は多くいると考えられます。雇用保険加入登録者の登録住所宛に制度を周知する郵便を定期的に発送することはすぐ出来るはずで、将来的な労働力を確保する意味でも有効な施策ではないでしょうか。

日本労働調査組合では、定期的に労働調査結果を発表しています。
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