「寿退社」が主流だった過去に比べ、現代では結婚をしても仕事を続ける女性が増えてきています。しかし、現代においても内心は「結婚して仕事を辞めたい」と考える人も少なくありません。
辞めたいと思っても、周りの目や今後の生活を考えると、なかなか退職に踏み切れないという人も多いのではないでしょうか?
当記事では、結婚して仕事を辞めることのメリットやデメリットを解説していきます。結婚して仕事を辞めたいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。

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結婚して仕事を辞めることのメリット
ひと昔前は、結婚したら女性は家庭に入るのが一般的でした。しかし、最近では結婚後も仕事を続ける共働き夫婦が増えてきています。とはいえ、結婚を機に仕事を辞めたいと考えている女性は現代でも少なくありません。結婚を辞めて、家庭を入るメリットとしては、下記が挙げられます。
- 仕事のストレスから解放される
- 自分の時間ができる
- 夫婦の時間が増える
- 家事や育児に専念できる
4つのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
仕事のストレスから解放される
まずは、仕事のストレスから解放されるというメリットが挙げられます。会社で働くよりも、家庭に入ることが向いている人もいるからです。どんな仕事でも、少なからずストレスがあるものです。
上司や同僚などの人間関係によるストレスや、売り上げノルマなどのプレッシャーなど、さまざまな場面でストレスを感じながら働いています。仕事を辞めれば、上記のようなストレスからは解放されます。
とくに下記のような人は、専業主婦に向いているかもしれません。
- 家事が大好き
- 一人の時間が苦にならない
- 家計のやりくりが得意
専業主婦が向いている人は、退職することで仕事のストレスから解放されます。
自分の時間ができる
仕事を辞めると、自分の時間ができるものです。趣味ややりたい勉強があれば、それに時間を費やすことができます。これまで平日のほとんどの時間は仕事をしていましたが、その時間が自由に使えるのです。
経済的に余裕があれば、習い事を楽しんだり、平日に旅行に行くこともできます。妊活中の人にとっては、生活を規則正しく整えられるので、体の不調を改善できるというメリットもあります。これまで仕事が忙しくて、自分の時間が取れなかった人は、退職を機にゆっくり休むのもいいものです。
夫婦の時間が増える
夫婦の時間が増えることも、仕事を辞めるメリットのひとつです。時間の融通が利くので、夫の生活リズムに合わせられるようになります。仮に夫の職場が転勤の多いところだったとしても、生活を合わせることができます。
夜勤など不規則な生活スタイルの仕事であっても、柔軟に対応が可能です。反対に共働きの場合は、休日や帰宅時間が合わず、夫婦の時間が取れないことも少なくありません。夫婦の時間が増えることで、妊活にも集中できます。
家事や育児に専念できる
家事や育児に専念できるというメリットもあります。今までは仕事の隙間時間に行なっていた家事や育児に、集中して取り組めるようになります。家事や育児は、いくら時間があっても困ることはありません。掃除や料理、洗濯のクオリティが上がり、より快適な家庭環境を作り出すことが可能です。家事が好きで、自分が気持ちよく過ごせる快適な家庭環境を作りたい人は、仕事を辞める選択肢も考えられます。
結婚して仕事を辞めることのデメリット
確かにいくつかのメリットがある寿退社ですが、メリットばかりではありません。
結婚して仕事を辞めることには、デメリットもあるのです。
結婚を機に仕事を辞めたいと思っている方は、下記のデメリットも頭に入れておきましょう。
- 収入が減る
- 社会復帰が難しくなることもある
- 手当金がもらえない
- 社会との関りが減る
それぞれのデメリットについても、詳しく解説していきます。
収入が減る
一番大きなデメリットは、やはり「収入が減る」ことです。
退職すれば、当然自分の収入はなくなります。
夫の仕事から得られる収入だけで、家計をやり繰りすることになるのです。
専業主婦やパートになると、正社員で働き続けるのに比べ、2億円以上の生涯年収の差が出るといわれています。
参照:https://www.fpwoman.co.jp/contents/knowledge/18460
収入が減れば、自分が自由に使えるお金も減ってしまいます。
収入が減ることを考えて、仕事を続ける人も少なくありません。
社会復帰が難しくなることもある
一度仕事を辞めると、社会復帰が難しくなることもあります。
資格を持っていない場合は、とくに再就職が難しくなるかもしれません。
最近ではパートやフリーランスなど、働き方も多様化され、何かしらの仕事は見つけやすくなっています。
しかし、大きな企業に正社員として就職したいと考えた場合、退職後のブランクが大きく影響することも考えられるのです。
家事は立派な仕事ですが、転職においてはキャリアとはみなされません。
今は働く必要がないかもしれませんが、離婚や夫の病気、リストラや子どもの養育費など、将来どこかで家計が厳しくなる可能性もあります。
正社員から離れてしまうと、社会復帰が難しくなることも覚えておきましょう。
手当金がもらえない
退職することで、さまざまな手当金をもらえなくなるというデメリットもあります。
仕事を辞めることで、もらえるはずだった手当金の給付対象から外れてしまうからです。
たとえば、健康保険からもらえるはずだった出産手当金、雇用保険から支給される育休手当金がもらえなくなってしまいます。
会社によっては、出産お祝い金などが出るところもありますが、そういったお金ももらえなくなってしまうのです。
手当金がもらえないと、損をしたような気持ちになるのも無理はありません。
社会との関りが減る
最後のデメリットは「社会との関りが減る」ことです。
仕事で外に出ないと、家族以外の人と話す機会も少なくなります。
一日中、一人でいることに寂しさを覚えたり、暇を持て余す可能性もあります。
もちろん、地域のボランティア活動などに積極的に参加すれば、このデメリットを解消することは可能です。
しかし、自分から積極的に動くのが苦手な人は、社会との関りが減ってしまいます。
自宅にずっといることがストレスに感じる人は、専業主婦に向いていないといえます。
結婚して仕事を辞めたい時の判断基準
結婚して仕事を辞めたいけれど、本当に辞めていいのか不安や迷いが残る人も少なくありません。
本当に仕事を辞めていいのか、迷ったときは下記の判断基準を参考にしてください。
- 配偶者の収入だけでやっていけるかどうか
- 配偶者の理解が得られるか
- 将来復職したい時に可能かどうか
それぞれの判断基準を具体的に解説していきます。
配偶者の収入だけでやっていけるかどうか
まず最初の判断基準は「配偶者の収入だけでやっていけるかどうか」です。
夫の収入だけで生活することになるため、家計のやりくりが厳しくなる可能性があるからです。
カツカツなら生活できるかもしれませんが、生活が苦しいと夫婦仲がギスギスしてしまう場合もあります。
生活費や家賃など、支出がどれくらいあるのかを細かく計算しておく必要があります。
配偶者の収入だけでやっていけるかどうかは、大切な判断基準となるのです。
配偶者の理解が得られるか
配偶者の理解が得られるかどうかも、大切なポイントです。
昔は女性が家庭に入るのが主流でしたが、最近では妻にも働いてほしいと考える男性は少なくありません。
夫の周りの夫婦が共働きであれば、夫にとって「共働きが当たり前」という考え方になっているかもしれません。
反対に、結婚したら仕事はセーブしてほしいと考える人もいます。
配偶者がどのような考えを持っているのか、退職を決める前にしっかり話し合っておきましょう。
配偶者の理解が得られないまま退職しても、夫婦喧嘩の要因になるので注意が必要です。
将来復職したい時に可能かどうか
将来、社会復帰したい時に可能かどうかも考えた方がいいポイントです。
もう一度働こうと思った時に、今以上の会社が見つからない可能性もあるためです。
学歴によっては就職が難しかったり、資格がないと年齢を重ねた時に再就職が厳しいケースも少なくありません。
先述したように、今は働かなくてよくても、将来的に働く必要が出てくる可能性もあります。
いざ働こうと思った時に、社会復帰できるかどうかが重要になります。
結婚を機に退職する場合の選択肢
結婚を機に退職する場合、選択肢は専業主婦だけではありません。
専業主婦以外の選択肢も検討してみましょう。
- 専業主婦になる
- パートタイムで働く
- 派遣社員として働く
- 転職して正社員になる
それぞれの働き方について、詳しく紹介していきます。
専業主婦になる
まずは専業主婦になるケースを見ていきましょう。
家事や育児に専念したいのであれば、専業主婦になるという道もあります。
専業主婦なら仕事と家庭の両立に苦しむ必要はなく、自分の時間を有意義に使うことができます。
とはいえ、家族のためだけに自分の時間を使わなければならないため、ラクな仕事ではありません。
収入がなくても大切な仕事ですが、評価されることはないので、やりがいを感じられない人も多いのが現実です。
しかし、現代においても、専業主婦に憧れる女性は少なくありません。
パートタイムで働く
パートタイムで働くという選択肢もあります。
夫の扶養内で働くと、時間に余裕を持ちながら家計の足しを得ることができるからです。
パート内で働くメリットとしては、下記が挙げられます。
- 夫が配偶者控除を受けることで、手取りが増える
- 厚生年金や健康保険に加入する必要がない
- 夫の勤務先から扶養手当がもらえることもある
正社員で働くよりも、余裕を持って仕事ができ、さらに上記のようなメリットが得られるのがパートタイム勤務です。
派遣社員として働く
派遣社員として働くことも可能です。
正社員よりも責任の重くない仕事ができ、さらにパートやアルバイトよりも時給が高いというメリットがあります。
また、自分の希望する条件で働けるのも派遣社員の特徴です。
ライフスタイルに合った職種や勤務時間、勤務地などを選ぶことができます。
デメリットとしては、派遣期間に上限があることです。
長くても3年で契約満了となってしまうので、長期で働きたいと思っている方にとっては、厳しい条件といえます。
時間のあるときだけ、好きな条件で働きたいという方には派遣社員がおすすめです。
転職して正社員になる
今の仕事から転職して、別の会社で正社員になるという方法もあります。
正社員として働けるのは、今の職場だけではないからです。
退職後すぐの転職なら、ブランク期間も短いので、比較的転職しやすいといえます。
今の職場に不満があるのであれば、退職ではなく転職するというのもひとつの方法です。
結婚を機に、自分の条件に合う職場へ転職する人は少なくありません。
結婚して仕事を辞めた人の体験談
結婚後に仕事を辞めるか続けるかは、その家庭の事情により異なります。
実際に辞めた人の体験談を見ていきましょう。
- 子どもと一緒に過ごす時間が増えたので満足
- 気が向いたら派遣で働く気楽さがある
- 専業主婦は向いていなかったのでパートで働くように
それぞれの体験談を読むと、退職後の生活がイメージしやすくなります。
子どもと一緒に過ごす時間が増えたので満足
大学を卒業してすぐ、広告会社で働き始めました。
仕事は楽しく、やりがいも感じていましたが、とにかく忙しく、休みもほとんどありませんでした。
30歳の節目をきっかけに、大学時代から付き合っていた彼氏と結婚。
結婚しても仕事は続けるつもりでしたが、ちょうどその時期に妊娠が発覚します。
ちょうどいい機会だと思い、結婚を機に退職しました。
当時の仕事を思い出しては「楽しかったな~」と思うことはありますが、子どもたちの小さいころしか見られない成長や発達を傍で見守ることができるのは幸せです。
子どもがいると、当時と同じようには働けなかったと思うので、退職してよかったと思っています。
気が向いたら派遣で働く気楽さがある
結婚前は、病棟で看護師として働いていました。
夜勤も多く、不規則な生活だったので、結婚を機に退職することに。
夫も専業主婦になることには賛成してくれました。
子どもはいませんが、今は妊活をしながら、のんびり毎日を楽しんでいます。
日中は習い事をしたり、地域のサークルで友達もできました。
お小遣いが欲しい時は、資格を生かして派遣看護師として働いています。
夫が一家の大黒柱として働いてくれているおかげで「生きていくために仕事をしなければならない!」というプレッシャーから解放されました。
専業主婦は向いていなかったのでパートで働くように
専業主婦に憧れ、結婚を機に大手企業を退職しました。
しかし、専業主婦は私には向いていなかったようです。
とくに趣味もなかったので、日中は時間を持て余していました。
9年ほど専業主婦をしていましたが、子どもたちが小学校に上がったのを機に、社会復帰を考え始めます。
たまたま前の会社の上司に声をかけていただき、パートとして職場復帰しました。
仕事に向き不向きがあるように、専業主婦にも向き不向きがあるのだと実感しました。
結婚して仕事を辞めなかった人の体験談
反対に、結婚しても仕事を辞めずに続ける人もいます。
仕事を辞めなかった人は、実際どのように感じているのか、体験談をご紹介します。
- 仕事と家庭の両立は大変
- 旦那とすれ違いの生活で結局転職
- 夫に働いてほしいと言われ渋々働くことに
それぞれの体験談を具体的に見ていきましょう。
仕事と家庭の両立は大変
コンサルティング事業の総務部で働いています。
結婚を機に退職することも考えましたが、会社に考え直してほしいといわれ、そのまま働くことにしました。
会社には社内保育所もあり、この先子どもができてもスムーズに職場復帰できると考えたからです。
幸い、夫は家事にも協力的で、早く帰れた日や休みの日には積極的に家のことをしてくれます。
とはいえ、日中フルタイムで働いてから、家に帰って家事を行なうのは一苦労。
クタクタで何もせずに終わることもしばしばです。
今の状態では、子育てができるとも思えず、しばらく子どもは作らない方向で夫と話し合っています。
旦那とすれ違いの生活で結局転職
アパレルの販売員として、5年間働いていました。
結婚しても続けている人がほとんどだったので、寿退社しようとは思わなかったです。
結婚してもそのまま仕事を続けるのが当たり前だと思っていました。
とはいえ、実際には旦那とすれ違いの毎日が続くことに。
急いで家に帰っても22時なので、旦那はすでに寝ていることもありました。
土日は基本出勤なので、仕事の休みも合いません。
すれ違いの生活が続くうちに、喧嘩も増えていきました。
このままでは離婚になってしまうと思い、思い切ってコールセンターに転職します。
相手が自分と似たような勤務体制ならいいのですが、まったく合わない場合は事前に考えた方がいいと思いました。
夫に働いてほしいと言われ渋々働くことに
専門学校を卒業後、美容師として働いていました。
昔から寿退社が夢で、結婚したら退職して専業主婦になろうと思っていました。
しかし、結婚相手の夫は専業主婦には反対。
将来のために貯蓄もしたいので、できれば働いてほしいと言われました。
夫の母親も定年まで正社員で働いていたので、共働きが当たり前だと思っていたようです。
夫の意向を汲み、渋々仕事を続けることにしました。
しかし、ずっと立ち仕事なので体力的にも厳しく、いつまで続けられるかわかりません。
結婚を機に仕事を辞める際の注意点
結婚を機に仕事を辞めたい場合は、円満退社のためにも伝える順番や内容に気を付けるようにしましょう。
おもに気を付けたいのは下記の点です。
- 伝える順番に注意する
- タイミングを見計らう
- 引継ぎはしっかり行なう
- 職場の空気を乱さないようにする
- 会社と揉める場合はプロに相談する
それぞれの注意点を詳しく解説していきます。
伝える順番に注意する
まず、退職の意思を伝える順番に注意しましょう。
結婚が嬉しくて、仲の良い同僚に知らせたくなってしまう人もいますが、それはNGです。
先に上司に伝え、それから同僚に伝えるのが、社会人としてのマナーなので注意しましょう。
上司に伝える前に社内で噂になってしまうと、上司も良い気はしません。
伝える順番に注意すると、余計なトラブルを避けることができます。
タイミングを見計らう
退職の意思と希望を伝えるタイミングを見計らうことも大切です。
結婚による退職は、基本的に自己都合になります。
繁忙期や人手不足の時期は避ける方が無難です。
もちろん、夫の転勤や体調不良といった、やむを得ない場合は別ですが、そうでない場合は会社の状況を考慮しましょう。
会社が忙しい時期を避け、タイミングを見計らうと、余計なトラブルを避けることができます。
引継ぎはしっかり行なう
引継ぎはしっかり行なった方がスムーズに退職できます。
業務の引継ぎ自体は義務ではありませんが、円満に退職するためには必要なことです。
せっかくの寿退社ですから、できるだけ祝福されて退職したいものですよね。
後任者が困らないよう、引き継ぎ事項はまとめておきましょう。
マニュアル化しておくという方法もおすすめです。
引き継ぎをしっかり行なっておくことで、スムーズに退職できます。
職場の空気を乱さないようにする
職場の空気を乱さないようにすることも重要なポイントです。
結婚となると、ついつい浮かれがちですが、あまり浮かれていると反感を買ってしまうこともあるからです。
会社は仕事をする場所です。
場所と立場をわきまえ、自分から過度に結婚の話をするのは避けましょう。
周りから聞かれたら、答える程度がベストです。
幸せいっぱいで周りが見えなくなりがちですが、職場の空気を乱さないようにすることは大切です。
会社と揉める場合はプロに相談する
会社と揉める場合は、プロに相談するのもおすすめです。
結婚は自己都合での退職になるので、上司から引き留めや引き延ばしをされる可能性もあります。
「自己都合なので有給は使えません」などといったトラブルや、退職を認めてもらえないなどがあれば、退職代行サービスに相談してみましょう。
プロに相談することで、冷静に状況を判断できるというメリットも期待できます。
仕事を辞めたいから結婚するのは危険かも!まとめ
結婚は人生のターニングポイントのひとつです。
だからこそ、結婚後に仕事を続けるか、辞めて家庭に入るのか迷う人も少なくありません。
家庭の事情や配偶者の意向も聞きながら、今後どうしていくのかを決めていきましょう。
仕事が忙しいとついつい辞めたいと思ってしまいがちですが、仕事を辞めたいという理由で結婚するのは危険です。
結婚自体を後悔することがないよう、仕事と結婚は切り離して考えましょう。専業主婦以外にも、選択肢はありますので、ほかの選択肢も検討して、一番幸せになれる道を見つけてください。