ハラスメント

パワハラの定義とは|職場で問題視される6つの行為類型と対策を解説

パワーハラスメント(以下パワハラ)とは、社会的立場の強い者が弱い者に対して行う言動や暴力のことを指します。

昔からパワハラは社会問題とされてきましたが、その定義は非常に曖昧で、会社によっては風土、社風といった言葉で片づけられていました。年々増えるパワハラ被害により政府は2020年「パワハラ防止法」を施工します。

法律が施行されたことにより、各企業のパワハラの防止や教育が必須となりました。ですが、全ての企業がパワハラ対策を行っているとは限りません。

当組合でもパワハラのご相談は多く、労働環境はまだまだ必須な状況にあると受け止めています。 この記事ではパワハラの定義からパワハラ防止法の解説、対策法などを解説していきます。

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パワハラとは?3つの定義を解説

2018年、厚生労働省の雇用環境・均等局により、以下の3つの事項によってパワハラが定義づけられました。

パワハラの定義
  1. 優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること
  2. 業務の適正な範囲を超えて行われること
  3. 身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること

参考資料:厚生労働省パワーハラスメントの定義について

定義づけをすることにより、パワハラに関して法的に判断しやすくなりました。のちの改正労働施策総合推進法は、この定義に基づき施行されます。改正労働施策総合推進法については次の項目で詳述します。

2020年にパワハラ防止法が施行

2020年6月1日、改正労働施策総合推進法、別名パワハラ防止法が施行されました。この法律により、企業に対してパワハラの防止対策を講じることを義務付けています。

改正労働施策総合推進法の主な改正内容は、第30条の第2項と第3項の新設です。

(雇用管理上の措置等)

第三十条の二 事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
 事業主は、労働者が前項の相談を行つたこと又は事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
 厚生労働大臣は、前二項の規定に基づき事業主が講ずべき措置等に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(以下この条において「指針」という。)を定めるものとする。
 厚生労働大臣は、指針を定めるに当たつては、あらかじめ、労働政策審議会の意見を聴くものとする。
 厚生労働大臣は、指針を定めたときは、遅滞なく、これを公表するものとする。
 前二項の規定は、指針の変更について準用する。

引用元: 労働施策総合推進法 第三十条の二

第30条第2項(雇用管理上の措置等)では、事業主にパワハラ防止対策を義務付けました。

労働者のパワハラの相談に応じ、それに適切に対応するための体制を整備することを定めています。またパワハラの相談をした労働者に対し、解雇や不利益な取り扱いをすることを禁止しています。

(国、事業主及び労働者の責務)

第三十条の三 国は、労働者の就業環境を害する前条第一項に規定する言動を行つてはならないことその他当該言動に起因する問題(以下この条において「優越的言動問題」という。)に対する事業主その他国民一般の関心と理解を深めるため、広報活動、啓発活動その他の措置を講ずるように努めなければならない。
 事業主は、優越的言動問題に対するその雇用する労働者の関心と理解を深めるとともに、当該労働者が他の労働者に対する言動に必要な注意を払うよう、研修の実施その他の必要な配慮をするほか、国の講ずる前項の措置に協力するように努めなければならない。
 事業主(その者が法人である場合にあつては、その役員)は、自らも、優越的言動問題に対する関心と理解を深め、労働者に対する言動に必要な注意を払うように努めなければならない。
 労働者は、優越的言動問題に対する関心と理解を深め、他の労働者に対する言動に必要な注意を払うとともに、事業主の講ずる前条第一項の措置に協力するように努めなければならない。

引用元: 労働施策総合推進法 第三十条の三

第30条の第3項(国、事業主及び労働者の責務)では、パワハラに対する労働者の関心と理解を深めるため、研修の実施や必要な配慮を行うことを義務付けました。

事業主自身もパワハラを行わないよう注意を払うことを定めています。この改正法の対象は全企業となっていますが、義務化の開始時期は大企業か中小企業かによって異なります。大企業では2020年6月1日より義務化されています。一方、中小企業では2022年4月1日からが義務化の対象となり、それまでは努力義務期間とされています。

パワハラに該当する6つの行為類型

前項では法的なパワハラの3つの定義を解説しました。「優位な立場を利用し業務に関係のない肉体的及び精神的な苦痛を与えること」をパワハラと定義していますが、より具体的にしたパワハラ行為を行為類型として6つで定めています。

6つのパワハラの種類
  1. 身体的な攻撃
  2. 精神的な攻撃
  3. 人間関係からの切り離し
  4. 課題な要求
  5. 過小な要求
  6. 個の侵害

参考資料:構成労働省 ハラスメントの類型と種類

この項目ではそれら6つの行為類型について解説をしていきます。

身体的な攻撃

相手に殴打・足蹴りしたり、物を投げつけたりして、社員身体危害を加える行為を指します。

一般的にパワハラと言われるとこちらを思い浮かべるか方がほとんどだと思います。指導・教育という意味合いで日常的に行われていた会社もあるかもしれません。

パワハラの代表的な行為だと言えます。

精神的な攻撃

相手を侮辱する言動暴言名誉棄損脅迫など精神的危害を加える行為を指します。

身体的な攻撃とは異なり、相手に対して言動で行うタイプのパワハラです。業務において部下に感情的になってしまう場面もあるかと思いますが、必要以上に相手を傷つけ人格を否定するような言葉は、パワハラとみなされてしまうので、注意しましょう。

こちらも、パワハラとしては想像しやすい内容になっています。

人間関係からの切り離し

特定の労働者に対して仲間外れ、無視など個人を阻害する行為もパワハラとして認定されてしまいます。

学生のいじめのような行為ですが、集団からの仲間外れ、無視などを行うこともパワハラになります。上司が部署内に対して「あいつを無視しろ」と命令し、それを部署全体で行ってしまったり、特定の人物のみを別室に隔離させることも”人間関係の切り離し”にあたります。

仕事ができない従業員に対して、辞めてほしいからという理由で行う会社もあるので、表面化されていないだけで、非常に悪質な行為だと言えます。

過大な要求

遂行不可な無理難題な業務を押し付ける行為のことを指します。

新入社員や経験の浅い中途入社の社員に対し、必要な教育を行っていないにもかかわらず過大な目標や要求を課したり、業務には直接関係のない自分の雑用などを押し付けたりすることもこのパワハラに該当します。

仕事を与える側も、悪気が無く成長を促す目的で行っている場合もあるため見極めが非常に難しいパワハラの内容になります。

過小な要求

意図的に特定の労働者に対して仕事を与えない行為のことを指します。

個人的な感情から、仕事を最小限しか与えずに窓際社員とさせることが目的であったり、管理職にも関わらず、レベルの低い仕事ばかりを任せるといった内容です。

合理的な理由があって行う場合は問題無いのですが、故意に仕事を与えない場合はパワハラに該当すると考えられます。

個の侵害

社員に対して過度なプライベートの詮索や機微な個人情報の暴露を周囲する行為を指します。

特定の人にしか話していない内容を周りに言いふらしたり、個人のバッグなどを除くなどプライバシー保護の観点から個人情報を過度に詮索、周知する内容もパワハラに該当します。

会社組織は家族ではなく、あくまで仕事上の付き合いであるという前提があります。なので仲が良いと思っている方でも、適切な距離感を保つように心がけましょう。

パワハラの相談件数は年々増大している

これまで解説をしてきたように、曖昧だと思われていたパワハラ行動に対して、国は様々な観点から定義づけを行っています。6つの行為類型などを知って「え、これもパワハラなの?」と驚かれた方も多いと思います。

厚生労働省が集計したデータによると、都道府県労働局に寄せられる職場における「いじめ・嫌がらせ」に関する相談件数は年々増加傾向にあります。

引用元:あかるい職場応援団 データで見るハラスメント

最新の令和2年度の「いじめ・嫌がらせ」に関する相談件数は計79,190件と、平成30年度、令和元年度から比べると減少したものの、依然として多い状態が続いています。また民事上の個別労働紛争相談件数の中では「いじめ・嫌がらせ」に関するものが22.8%と、最も高い割合を占めています。

これらのデータを見ると、パワハラが定義づけられたり、パワハラ防止法が施行されたりしたことにも納得です。

パワハラの相談はどこにすべきか?

パワハラ防止法が設けられたもの、先述のようにパワハラに関する相談は増加傾向にあります。今、この記事を読んでいるあなたも、パワハラの悩みを抱えているのではないでしょうか?

自分がもしパワハラに合った時に、どういった人、機関に相談をすれば良いのか?また、相談した後にどのような対応をしてもらえるのか?必要なのかを解説していきましょう。

総合労働相談コーナー

総合労働相談コーナーは各地域の都道府県労働局」が設置している相談窓口になります。

都道府県労働局とは、 厚生労働省が全都道府県にそれぞれ設置している地方支分部局のことを指します。主な業務として労働相談、労働法違反摘発、労災保険・雇用保険料の徴収などです。下部機関としてハローワーク、労働基準監督署などがあります。 正しくは各地域+労働局といった名称で「東京労働局」が正式名称となります。

労働に関する相談を受け付けており、専門の相談員と面談が可能です。

日本司法支援センター(法テラス)

法テラスは経済的な理由から弁護士に依頼できない人たちのために、国が支援して創設された法務省所管の機関です。

刑事・民事問わず法的トラブルに関する相談が可能で、経済的に余裕がない人に対して無料で法律相談を行っています。ただし法テラスを利用できるかどうかはその人の所得で審査されるため、全員が受けられるわけではありません。

法テラスはこのように、経済的余裕のない人の相談窓口としておすすめです。

弁護士

弁護士に相談すると、パワハラを法的な手段を用いて解決できます。

弁護士は依頼者の代理人として代理交渉することが可能だからです。弁護士であれば、個人では難しい未払い賃金の請求や企業との交渉、また労働審判や訴訟のサポートなどを行うことができます。

弁護士に依頼をすれば、法的な手段でスムーズにパワハラ問題を解決することができます。

労働組合

労働組合は、労働環境の改善などを目的とする機関で、労働組合法や労働三権(団結権・団体交渉権・団体行動権)に基づいて結成されているます。

それら法律に基づき、企業に対して労働環境や就業規則などの改善を促すことが可能です。日本の労働組合には大きく分けて以下の4つの種類があります。

  1. 企業別労働組合…企業に所属する労働者で組織する労働組合
  2. 合同労働組合…産業・職業問わず労働者個人で加入できる労働組合
  3. 産業別組合…同一産業に属する労働者で組織する労働組合
  4. 職業別組合…同一職業に属する労働者で組織する労働組合

これらのうち個人が加入できるのは企業別労働組合合同労働組合になります。

企業別組合は同じ企業の労働者が集まって結成された組織です。そのため、同じ会社内では相談がしずらく、ほとんど機能していないというのが実情です。

そこで合同労働組合です。合同労働組合は会社・職種・産業関係なく労働者が集まって結成された組織で、自分で適した組合を探して加入することができます。個人単位で加入ができるため、会社の人に知られたくないという方でも安心です。

当組合(日本労働調査組合)も、この合同労働組合にあたります。パワハラやセクハラなどのハラスメント問題を始めとした、労働環境に関するさまざまな相談を承っております。ぜひお気軽にお問い合わせください。

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企業が行うべきパワハラ対策

前項ではパワハラを受けてしまったときに相談する機関を紹介しました。

そもそもパワハラが起きてしまう環境やパワハラを行ってしまう人を、企業が放っておいてはいけません。下記で説明するパワハラ対策を講じていない企業であれば、パワハラに対してあまり危機感を持っていないと認識しておいたほうがよいでしょう。

パワハラに関する教育を行う

会社内で定期的に時間を設けてパワハラやセクハラに関する講習は行わなければいけません。

しっかりと上から下に周知を行うことで、注意喚起になりパワハラを未然に防ぐことができます。トップを含めた社員がパワハラにあたる言動をしてしまった際、後ろめたい気持ちを持つ可能性が高くなります。

特にリーダー研修を取り入れると効果的です。研修でどういった言動がパワハラに該当するのかを意識させ、パワハラの防止につなげることができます。

就業規則にハラスメント関係の規定を設ける

就業規則にパワハラに関する規定を設けることも、パワハラの防止につながります。

それは就業規則を破ると具体的な罰則を与えることができるため、パワハラに対する抑止力になるからです。「パワハラを行った事実が発覚した場合は減給、もしくは解雇」といった規定を設けることで、パワハラを防止できる可能性が高くなります。

パワハラ行為を放置するのは企業にとってリスク

企業内でのパワハラを放置しておくことは、企業にとってリスクにつながります。それはパワハラ防止法が施行されたという背景もありますが、パワハラが横行すれば従業員たちが辞めてしまう可能性もあるからです。

そうなると業務に支障を来し、生産性が低下してしまいます。最悪の場合、企業の悪評が広まることも考えられます。

このようにパワハラを見過ごすということは、企業にとってデメリットしかありません。

パワハラする人の性格の特徴と対策

企業が行うべきパワハラ対策については前述しました。しかし企業全体で対策をしたとしても、元をたどれば個人の問題です。大企業になればなるほど、細部まで手が行き届かなくなり、個々の管理が難しくなります。

そのため特に大企業は企業全体で対策をしても、パワハラを完全に防止することはできません。パワハラを行う個人の特徴を理解して、個々で対策をとる必要があります。以下ではパワハラを行う人の特徴と、その人への対策をまとめています。

高圧的な態度を取る人

単純に怖くて高圧的な態度をとってくる人は、威張る、人を見下す、気性が荒いといった特徴があります。上司だと簡単には言い返せないため、なおさら危険です。こういう人に対しては、褒める、持ち上げる、否定しない、といった対策が有効です。この対策はパワハラを受ける側としては納得がいかないかもしれません。また相手にその対策を見透かされる可能性もあります。しかしとにかくその場をしのぐための手段としては有効です。

完璧主義

理詰めで人を追いつめるだけの完璧主義者は、排他的な態度をとる、自分の考え通りの答えでなければ認めない、部下を褒めない、他人を思い通りにコントロールしようとする、といった特徴があります。そういう人の話は真に受けず、気にしないようにするのが一番です。完璧主義の人は重箱の隅をつつくようなことしか言わないため、すべてを真に受けているとキリがないからです。実際、そういう人たちには明確な悪意はなく、ほとんどが無意識に行っています。

言っている事がコロコロ変わる

最初と言っていることが違う、またその勘違いから叱ってくる人に対しては、指示を受けた際にメモをする、メールやチャットを保存しておくなど、目に見える形でその発言を記録しておくという対策が有効です。最初と言っていることが違う場合にそれらの記録を提示すれば、逆ギレされる可能性もありますが、少しは意識してくれるかもしれません。指示されたことを再度確認されたときに「忘れていました…」では余計に突っかかってくる可能性があります。「◯◯とおっしゃっていましたよね? 」という状況を作るために、指示の記録を残しておくことが重要です。

パワハラと勘違いされる行為には注意を!

前項では典型的なパワハラの例を紹介しました。しかしときには、悪意を持った嫌がらせのつもりがなくてもパワハラと受け取られてしまうケースがあります。ここで最初に紹介したパワハラの3つの定義をおさらいしておきましょう。

  1. 優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること
  2. 業務の適正な範囲を超えて行われること
  3. 身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること

 これら3つの定義をふまえ、パワハラと受け取られやすい具体的な言動の例を紹介します。

フィードバックなどは慎重に

指導の一環として、部下の欠点や仕事内容に関する改善点などを指摘するという行為も、人によってはパワハラと受け取るケースがあります。指摘する際は優しい口調を心がけ、部下の逃げ道も用意してあげるといった配慮も必要です。

部下のスキル以上の成果を求める

部下に成長してほしいという意図で、実力に見合わない難しい仕事を与えることも、パワハラと受け取られてしまうことがあります。これは前述した6つの行為類型の「過大な要求」に該当します。部下の実力より明らかにレベルが高い要求はしないほうが賢明です。

プライベートの話をする際も注意

上司にとっては他愛のない会話かもしれませんが、部下はプライベートなことを聞かれるのを嫌がります。あまり突っ込んだ話はしないほうが得策です。

まとめ

今回はパワハラの定義やパワハラ防止法、パワハラを受けたときの相談先や対策などを紹介しました。自分の身を守るため、また自分がパワハラを行わないようにするためにも、これらの知識を頭に入れておくとよいでしょう。

もし今パワハラを受けているという人は、どうか我慢せず、どこかに相談してくださいね。当組合でもパワハラを始めとした労働環境に関する相談を承っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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