ハラスメント

セクハラの定義とは|4つの種類解説と対策方法を伝授

セクハラ

セクシュアル・ハラスメント(以下セクハラ)は性的な言動による嫌がらせのことを指します。2020年のパワハラ防止法施工をきっかけにセクハラ防止策(男女雇用機会均等法第11条)が強化されました。

この男女雇用機会均等法は性別による差別をなくし、女性労働者にあっては、母性や女性らしさを尊重し仕事ができることを基本理念としています。

言葉自体は30年ほど前からあり、社会的な問題とされてきましたが、徐々に法律が整備されています。それでも、セクハラに関するご相談は減ることはありません。

各企業はまだまだセクハラに対する認識を強める必要があります。この記事は、セクハラの定義や種類、具体的にどのような行為がセクハラに該当するのか?またセクハラ被害にあった際の対処法などを解説しています。

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セクハラの定義とは?

男女雇用機会均等法では、セクハラ(セクシュアルハラスメント)を「職場において行われる性的な言動」と定義付けています。

セクハラ被害者がそれを拒否したため不利益を被ることや、就業環境を害されることもセクハラに該当します。

これらは同時にセクハラの判断基準となります。なお同法第11条第1項では、セクハラを受けた労働者からの相談に応じ、適切な措置を講じることを事業主に義務付けています。

(職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置等)
第十一条 事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

引用元:男女雇用機会均等法

下記では法律で読み取れるセクハラの定義に関して解説していきます。

性的な言動

性的な言動=セクハラという認識が一般的で最もわかりやすい内容です。

男女雇用機会均等法第11条第1項において「職場において行われる性的な言動」と定義されています。

言動により被害者本人が不快だと感じた場合はもちろんのこと、周りの人たちが性的な言動だと判断した場合も、セクハラに当たるとされます。

労働条件に不利益を受ける

セクハラを受けた労働者がその言動を拒否した場合、解雇や減給といった不利益を与える行為も法律により規制される内容になります。

男女雇用機会均等法では、このようにセクハラを拒否されたことにより、加害者が被害者にとって不利益となる対応をとることもセクハラに当たるとしています。

詳細については対価型セクシュアルハラスメントの項目で詳述します。

就業環境を害される

被害者の就業環境が害される言動もセクハラとされます。

前述した解雇や減給といった直接的な不利益ではないものの、上司の日常的なセクハラ発言や身体的接触が苦痛で仕事に集中できない、行きたくないと感じる状態がこれに当たります。

セクハラの種類

セクハラには大きく分けて、対価型・環境型・制裁型・妄想型の4つの種類があります。

  1. 対価型セクシュアルハラスメント
    性的な言動を拒否したために労働条件に不利益を受けるセクハラ。
  2. 環境型セクシュアルハラスメント
    性的な言動を受けたために就業環境が害され、能力の発揮に支障をきたすセクハラ。
    視覚型・発言型・身体接触型の3つに分類される。
  3. 制裁型セクシュアルハラスメント
    性差別的な価値観に基づき、女性の昇進や活躍を否定・抑圧するセクハラ。
  4. 妄想型セクシュアルハラスメント
    相手が自分に好意があると勘違いし、しつこく付きまとうセクハラ。

これらのうち対価型セクシュアルハラスメントと環境型セクシュアルハラスメントは、男女雇用機会均等法第11条第1項により、防止措置を講じることが義務付けられています。

参考:厚生労働省「事業主の皆さん 職場のセクシュアルハラスメント対策はあなたの義務です!!

対価型セクシュアルハラスメント

対価型セクシュアルハラスメントとは、性的な言動を受けた労働者がその言動を拒否したことにより、解雇や降格、減給や配置転換など、不利益な措置を被ることです。男女雇用機会均等法第11条第1項の「不利益」はこのことを指しています。

(対価型セクハラに該当する例)
・事業主が労働者に性的な関係を要求したが拒否されたため、労働者を解雇した。
・事業主が労働者に身体的接触をしたら抵抗されたため、労働者に不利益となる配置転換をした。

環境型セクシュアルハラスメント

環境型セクシュアルハラスメントとは、性的な言動を受けたことで就業環境が不快なものとなり、労働者が能力を発揮できないといった重大な支障が生じることです。

これは男女雇用機会均等法第11条第1項の「就業環境が害される」ことを指しています。

環境型セクシュアルハラスメントはさらに、視覚に訴える視覚型セクハラ性的発言をする発言型セクハラ身体に触る身体接触型セクハラの3つに分類されます。

視覚型セクハラ

視覚型セクハラは相手の視覚に訴えるタイプのセクハラです。意識的に行っている場合はもちろんのこと、そのつもりがなくてもほかの労働者から見える場所で行われていれば、セクハラに該当します。

(視覚型セクハラに該当する例)
労働者が業務で使用するパソコンでアダルトサイトを閲覧しているため、それを見た労働者が苦痛に感じて業務に専念できない。

発言型セクハラ

発言型セクハラは性的な発言をするタイプのセクハラです。本人は褒めているつもりでも、相手が不快に感じればセクハラに該当します。

(例)
「スタイルが良いね」「きれいだね」「彼氏or彼女はいるの? 」などの発言をたびたびされ、労働者が業務に集中できない。

身体接触型セクハラ

身体接触型セクハラは相手の身体に触るタイプのセクハラです。仕事の頑張りを労うための軽いスキンシップも、相手が不快に感じればセクハラに該当します。

(例)
上司が腰や胸をたびたび触るため、触られた労働者は仕事が手につかず就業意欲が低下する。

制裁型セクシュアルハラスメント

制裁型セクシュアルハラスメントとは「女性はこうあるべき」という性差別的な価値観に基づき、女性の昇進や活躍を否定・抑圧することを指します。

(例)
・お茶出しを拒んだ女性に低い評価を付けた。
・女性は育児に専念すべきだという自分の価値観を強く押し付けた。

妄想型セクシュアルハラスメント

 妄想型セクシュアルハラスメントとは、相手が自分に好意を抱いていると勘違いし、しつこく付きまとったり性的な発言をしたりすることを指します。

(例)
・相手が自分のことを好きに違いないと勘違いし、しつこく食事に誘った。
・連絡を取っているうちに仲が深まったと勘違いし「今何してるの? 」「今度飲みに行こう」などと、しつこくメールを送った。

セクハラ以外の職場のハラスメント

ハラスメントはセクハラ以外にも、パワハラ・マタハラ・モラハラなどがあります。

妊娠・出産をする女性に対してのマタハラは、数十年前から問題視されているセクハラ同様、差別的な嫌がらせです。

しかしそのセクハラに対し、マタハラは子育てしながら働く女性が増えたことを背景に、近年になり注目されるようになってきました。

パワハラ

パワハラ(パワーハラスメント)とは、優越的な関係に基づき、業務の適正な範囲を超えて身体的あるいは精神的苦痛を与えること、もしくは就業環境を害することを指します。

(例)
・殴る蹴るの暴行を加える。
・人格を否定するような暴言を吐く。

下記記事ではパワハラの6つの行為類型や、パワハラを受けたときの相談先・対策などを紹介しています。ぜひこちらも参考にしてみてください。

マタハラ

マタハラ(マタニティハラスメント)とは、妊娠・出産・育児などに関する理由で、その当該女性労働者に対し不利益な取扱いを行うことを指します。

(例)
妊娠・出産・育児を理由に解雇や降格をする、正社員から非正規社員とする。

モラハラ

モラハラ(モラルハラスメント)とは、言葉や態度によって相手の人格や尊厳を傷つけることを指します。モラハラは前述したパワハラやセクハラと異なり、職場だけでなく夫婦や親子、友人との間でも発生します。

(例)
・話しかけられても無視する
・集団から孤立させる
・業務を妨害する
・プライベートに干渉する

職場のセクハラ対策

男女雇用機会均等法の第11条第1項にあるように、セクハラの防止措置を講じることは事業主の義務となっています。しかし強制力は無く、努力義務に留められている点は少し問題かもしれません。

ここでは会社全体と個人に分け、どのような対策を取るべきかを解説します。

セクハラを未然に防ぐための対策を取ることは会社にとっては容易ですが、個人では容易ではありません。個人の場合は未然に防ぐというよりも、実際にセクハラが起きた際に効果的な対策を取るほうが現実的でしょう。

会社側の対策

前述しているように、会社側には男女雇用機会均等法の第11条の内容に基づいて、セクハラの防止措置を講じることが義務付けられています。

具体的には、セクハラに関する講習を定期的に行い従業員への教育を徹底させる、セクハラの抑止力として就業規則にセクハラに関する項目を設ける、といった対策が必要とされます。

従業員への教育を徹底させる

従業員向けの講習を月に1回行い、会社全体でセクハラに対する意識を高めましょう。

自分やほかの従業員の言動がセクハラに当たらないかを常に意識することができれば、セクハラを防止できる可能性が高くなります。管理職クラスにはセミナーを受けさせましょう。

部下に改めて講習を開き、その内容を伝えてもらうことで啓発につながります。このように講習やセミナーを定期的に実施することで、従業員全体のセクハラへの意識を高めることができます。

就業規則にセクハラの項目を設ける

会社の規則としてセクハラの項目を設けることで、セクハラ防止につなげることができます。就業規則を破ったときは会社から処分が下ります。

「◯◯をしたら解雇できる」といった決まりを設けられるため、セクハラの大きな抑止力となるでしょう。そのため就業規則にセクハラの項目を設けることを強くおすすめします。

個人の対策

個人が行う対策では、セクハラを未然に防ぐことは難しいとされます。セクハラされないように振る舞うことはできますが、それでセクハラを抑止できているのかはわかりづらいですし、みんながみんなできるものではないため、現実的ではありません。

よってここではセクハラをされた際に取るべき行動を紹介します。

主な対処法は第3者へ相談することです。セクハラを拒否したり加害者に「やめてください」と伝えたりすることは、気まずさや報復される恐れがあるため現実的ではないでしょう。

社内の信頼できる人か相談窓口に相談する

セクハラをされたら、まず社内で信頼できる人か相談窓口に相談しましょう。

セクハラをされたという事実を周囲に知られるのが恥ずかしかったり、相手との関係が悪化することを恐れたりする人も多いと思います。信頼できる同僚や同性の先輩、上司に相談するのが賢明です。

社内に相談窓口があり、相談しやすい環境であれば、そちらのほうが対応は早いかもしれません。可能であれば、セクハラを解決できるよう自分も動いていきましょう。

労働基準監督署や労働組合などに相談する

セクハラに対して深刻に悩んでいる場合は、然るべき機関に相談することをおすすめします。労働基準監督署や労働組合は、法的観点から企業に対して対応することが可能です。

相談するだけでも大丈夫ですし、解決したい場合はアドバイスをしてくれます。

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セクハラ相談する前準備

セクハラに関してアドバイスをもらうだけでなく、セクハラをしてきた相手や会社に法的な措置を求めるのであれば、セクハラの証拠が必要になります。

まずは自分がどのような解決を望んでいるのかを明確にし、その後物的証拠を揃えていきましょう。前準備をしっかりと行っていれば、相談から解決までスムーズに進めることができます。

セクハラをどう解決するか決める

セクハラを相談する前に、自分が何を求めて相談するのかを明確にしましょう。

自分がどのような解決を望んでいるのかをはっきりさせておくと、相談相手もアドバイスがしやすくなります。部署を移動したい、セクハラ加害者と離れたい、セクハラを理由に退職したいなど、さまざまなゴールがあります。

相談をスムーズに進めるために、自分がどのような解決を望んでいるのかを明確にしておきましょう。

セクハラされたとわかる物的証拠

セクハラをされたとわかる物的証拠を揃えましょう。

セクハラを受けているときの音声や映像、メールや被害者本人のつけた記録などは、物的証拠として認められやすいです。ただし音声の場合は相手に無断で録音すると、裁判上の証拠であることを否定されるケースがあるため、注意が必要です。

記録をつける場合は、セクハラを受けた日時や場所、どのようなセクハラであったか、自分がどのような心理状態になったかなど、できるだけ具体的に記録しましょう。

セクハラが耐えられない場合は退職も一つの手段

セクハラを受けている人のなかには、相談するのすら気が進まないという人もいるかもしれません。

そういう人は退職も検討しましょう。セクハラが原因の退職は言い出しづらいという場合は、退職代行サービスを利用するという方法もあります。

退職代行サービスとは

退職代行サービスとは、労働者本人に代わり、会社への退職連絡や退職に関わる手続きなどを代行しているサービスのことを指します。退職代行サービスを利用すれば、会社側と直接連絡を取ることなく、即日で辞めることが可能です。そのため利用者の負担はかなり軽く済みます。

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セクハラは重大な労働問題です! 1人で悩まずご相談を!

今回はセクハラの定義とその種類、セクハラを受けたときの対処法などを紹介しました。セクハラは被害者に苦痛を与え、就業意欲を低下させる重大な労働問題です。セクハラの被害を受けている場合は1人で悩まず、信頼できる人や相談窓口、然るべき機関に相談しましょう。

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