ハラスメント

バイト先でのパワハラの事例と対処法、辞め方を解説|即日退職も可能

アルバイトのパワハラ

バイト先やパート先で「パワハラを受けていて辛い…」「これってパワハラ?」「対処法がわからない」と悩んでいる人はいませんか? パワハラと仕事上必要な指導との線引きは難しいうえ、反抗すると状況が悪化する恐れもあるため、どう対処したらよいのかわからないのも無理はありません。

しかし実は、パワハラはやむを得ない事由のため、民法第628条に則って即日退職することができます。

この記事を読めば、バイト先におけるパワハラの事例やその対処法、パワハラを受けている場合のバイト先の辞め方やタイミングがわかります。事情があってバイト先をすぐには辞められない人にも役立つ内容になっているため、ぜひ参考にしてみてください。

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バイト特有のパワハラの事例

パワハラとは一言で言えば「権力を悪用した嫌がらせ」のことです。しかし、実際は「どこからがパワハラなのかわからない」という人もいるのではないでしょうか?

バイトで言うパワハラとは「バイト先のオーナーや店長、先輩などから、業務を行ううえで明らかに必要のない不適切な言動を受け、心身に苦痛を感じ、バイトの業務に支障をきたすこと」を指します。たとえば、次のような事例が挙げられます。

  • 「接客がなっていない」と殴る・蹴る・備品や私物を投げつける・壊す
  • 「オーダーミスされたら迷惑なんだよ。使えないやつだな」などと、ミスを必要以上に叱責する
  • その人にだけシフト変更などの連絡事項を共有しない・その人だけバイト仲間の歓送迎会に呼ばない
  • 「接客と調理を1人で全部やれ」など、明らかに遂行不可能な仕事を課す
  • 接客枠で採用したにも関わらず、清掃や皿洗いばかりさせる
  • 持病や休日の過ごし方などプライベートを詮索する・また、それをバイト仲間に暴露する

パワハラと仕事上必要な指導との違いを見極めるのは難しいところですが、上記のように明らかに個人的な感情からくる、指導には不必要・不適切な言動であればパワハラだと言えます。

パワハラに該当しない事例

上記では、バイトにおけるパワハラの事例を紹介しました。では、パワハラに似通ってはいるけれど、パワハラには該当しない事例にはどんなものがあるのでしょうか?

パワハラなのか、それとも業務に必要かつ適切な指導なのかを見極める参考にしてみてください。たとえば、次のような事例が挙げられます。

  • 「シフトにたくさん入ってくれてありがとう」などと、激励のために肩や背中を軽く叩く
  • 遅刻や無断欠勤をし、職場だけでなく客にも迷惑をかけたため、厳しく注意する
  • バイトの初日にその人だけ別室で新人研修を受けさせる
  • 繁忙期に、就業規則や労使協定の範囲内でいつもより多めにシフトを入れる
  • レジをしたことがなかったため、最初のころは隣で見て覚えさせながら袋詰めだけさせる
  • 髪色や服装を、そのバイトに相応しいものに変えるよう注意する

このように、業務を行ううえで必要かつ適切な言動は、パワハラではなく「指導」に該当します。

バイト先でパワハラを受けたときの対処法

それでは、上述したようなパワハラを受けたとき、どのような対処法を取ればよいのでしょうか? ここではバイトやパートの人でも実践しやすい、現実的な対処法を紹介します。なお、損害賠償請求などの法的措置も取ろうと思えば取れますが、得られるものが費やすお金と労力に見合わないため、おすすめはしません。

パワハラを受けたら、まずはその状況をできる限り詳しく記録し、証拠を集めていきましょう。それをもとに、信頼できる人や社内の相談窓口、公的機関などに相談し、解決を図ります。それでも解決できない場合や、労力を使わず手っ取り早く解決したい場合は、バイトを辞めるのが一番です。

パワハラを記録して証拠を集める

パワハラを受けたときはまず、パワハラの状況を詳しく記録し、証拠を集めていきましょう。証拠を集め、労働者の安全配慮について定められた労働契約法第5条に会社が違反していることを証明できれば、即日退職も可能です。

(労働者の安全への配慮)第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

引用元:労働契約法第5条

また、話し合いの際や、万が一裁判に発展した際に、客観性のある記録を持っていると有利になります。後述する社内の相談窓口や公的機関などに相談するときにも役立ちます。以下のような点は必ず記録しておきましょう。

  • 日時
  • 場所
  • 具体的な言動
  • 周りで見ていた人

また、記録する方法としては

  • メモや日記
  • 録音
  • 現場の写真や動画
  • メールやSNSなどでのやりとり
  • 職場の人の証言
  • 病院の診断書

などがあります。ここで大切なのは、パワハラに該当するか微妙に思われる言動でも、のちに有力な証拠となる可能性があるため、どんな些細なことでもすべてメモしておくことです。こうしてパワハラの証拠をなるべく多く集めていきましょう。

信頼できる人に相談する

家族や友人、職場の信頼できる人などにも早めに相談してみましょう。パワハラを受け続けていると、正しい判断ができなくなる恐れがあります。自分には非がないにもかかわらず「自分にもパワハラを受ける原因があるのではないか?」「これぐらいは成長のために我慢すべきだ」などと、思い込んでしまいがちです。しかし、第三者の意見を聞くことで、現在の状況を客観的に捉えることができます。

ただし、職場の人に相談する場合は、その人からパワハラ加害者に情報が漏れる恐れも否定できません。そのため、相談相手は慎重に選ぶ必要があります。信頼できる人に早めに相談しましょう。

社内窓口で相談する

誰かに相談しても解決できなかったとき、当事者間での解決が難しいときは、社内の相談窓口で相談してみましょう。パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)の第32条の2では、事業主が労働者のパワハラ相談に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備するよう義務づけられています。なお、2022年4月からは、中小企業もこの法律の適用対象となりました。

社内窓口で相談するときには、パワハラの具体的な内容や、それを受けての自分の健康状態、会社に対応してほしいことなどを整理しておくとスムーズです。チェーン店や支社がある会社では、相談することにより、加害者や自分が異動させてもらえるケースもあります。

当事者間での解決が見込めないときは、社内窓口で早めに相談してみましょう。

公的機関で相談する

パワハラは公的機関でも相談できます。バイト先が個人経営のお店のため相談窓口がない、会社に相談するのが怖い、相談しても解決できなかった、という人はぜひ利用してみましょう。以下のような公的機関で相談を受け付けています。

相談する際は、上述したパワハラの証拠やシフト表、給料明細などを用意していくとスムーズです。バイト先での解決が難しいときには、公的機関の相談窓口もぜひ活用してみましょう。

バイトを辞める

パワハラに悩んでいるときの最も効果的で手っ取り早い解決方法は、そのバイト先を辞めることです。パワハラに対処するためには、本来であれば必要なかった無駄な労力を費やさなければなりませんし、上手く対処できずに我慢し続けていると、心身の体調を崩す恐れも出てくるからです。メンタルを病んでしまうと適応障害やうつ病などになり、日常生活を送ることすら難しくなってしまう可能性があります。

あなたに合ったバイト先は必ずあります。辞めるのは「逃げ」ではなく、自分を守るための「正しい選択」です。ただし、バイト先をばっくれるのは絶対にNGです。

パワハラを受けている場合のバイト先の辞め方については以下で解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。

パワハラを受けているときのバイト先の辞め方とタイミング

それでは、パワハラに遭っているときはどうやって辞めたらよいのでしょうか? 

実は、パワハラを受けているときは即日退職できます。通常は民法第627条により、退職を申し出てから2週間経たなければ退職はできません。しかし、民法第628条では、やむを得ない事由があるときはいつでも退職できると定められているため、パワハラを受けているときは即日退職が可能です。

また、有期雇用契約の人はやむを得ない事由がなくても、1年以上働いていればいつでも退職できます。少しでも稼いでから辞めたいという人は、退職日までの2週間、有給を使い出勤しなくても済むようにするという方法があります。

退職を申し出た際にトラブルになりそうな場合は、退職代行を利用するのも1つの手です。

パワハラはやむを得ない事由のため即日退職可能

実はパワハラを受けているときは、2週間待たずとも退職可能です。これは民法第628条によって保障されており、有期雇用契約の労働者にも当てはまります。

また、パワハラが横行している状況は、労働契約法第5条とパワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)の第30条の2第1項に違反しているとも言えます。パワハラ防止法は、2022年4月から、中小企業も施行対象になりました。

退職日まで有給や欠勤を使う

上述したように、即日退職もできるとはいえ、いきなりは辞めづらい人、少しでも稼いでから辞めたいという人は、退職までの2週間、体調不良などを理由に有給や欠勤を使いましょう。

有給に関しては、半年以上勤務しており、かつ全労働日の8割以上出勤している労働者に付与することが、労働基準法第39条で定められており、これはバイトやパートの人にも当てはまります。

このように、体調不良などを理由に有給や欠勤を使い、出勤しなくても済むようにするという方法もあります。

有期雇用契約ではやむを得ない事由がなくても1年以上働いていれば辞められる

有期雇用契約の場合は、やむを得ない事由があるときはもちろん、やむを得ない事由がなくても、労働基準法第137条により、1年以上勤務していればいつでも辞められます。

たとえば、自分が受けている言動がパワハラに該当するか微妙なときでも、有期雇用契約で1年以上働いている人であれば、この法律を盾に退職できます。

このように、その職場で1年以上働いていれば、パワハラなどのやむを得ない事由がなくても退職可能です。

退職代行を利用する

退職代行を利用するというのも1つの手です。退職代行は、バイトやパートの人でも利用できます。パワハラを受けている人のなかには「今すぐ辞めたい」「辞めたいと言い出しにくい・怖い」「加害者と顔も合わせたくない」という人も少なくありません。

退職代行はそうした労働者の代理人となり、会社への退職連絡を行ってくれます。ただし、運営元によってサービス内容に差があるため、注意が必要です。

このように、自分から退職を言い出せないとき、退職を申し出たらさらに酷いパワハラを受けそうなときには、退職代行を利用しましょう。

当組合が運営している退職代行ニチローでは、会社への退職連絡や退職日の調整、有給消化の交渉や退職手続きまで、退職に関することを一手に引き受けます。24時間年中無休でご利用できますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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パワハラに遭いにくいバイト先の見極め方

それでは、パワハラを受けているバイト先を辞めたとして、もう二度とパワハラに遭いたくないという人は、どうやってバイト先を見極めたらよいのでしょうか?

まず、気になる職場を見つけたら、自分が働く予定の時間帯に見学に行き、スタッフ同士のやり取りや雰囲気などを自分の目で確認しましょう。応募をしたら、電話や面接の対応でパワハラの傾向がないかをチェックします。面接の際は自分の希望する条件もしっかり伝え、そのときに向こうがどう対応するかも確認しましょう。

自分が働く予定の時間帯に見学に行く

応募するバイト先が飲食店や小売店の場合、まずは自分が働く予定の時間帯に見学に行きましょう。求人広告や求人サイトなどではわからない職場の雰囲気を確認できます。

たとえば、

  • スタッフ同士のやり取りや連携
  • スタッフの表情
  • スタッフが客の前で叱責されていないか

などをチェックします。時間帯によって働く人がガラッと変わることも多いため、できるだけ自分が働く予定の時間帯に見学するようにしましょう。

このようにパワハラが横行している気配がないか、自分の目で確認することが非常に重要です。

電話や面接などの対応に問題がないか確認する

応募先が決まったら、次は応募したときの向こうの対応を確認します。そのときの対応で、パワハラ気質があるか、良い職場かどうかを、ある程度見極めることができます。

たとえば、

  • 電話や面接での対応が威圧的ではないか
  • こちらの質問に答えてくれるか
  • 連絡が遅すぎないか
  • 無理にシフトを入れようとしていないか

といった点をチェックしましょう。

このように内定前にバイト先の対応をよく観察してから、働くかどうか決めることも重要です。

面接では自分の希望も伝える

面接では、自分が希望する条件もしっかり伝えましょう。遠慮ばかりしていると「この人はどんな要望でも聞いてくれる」と思われ、その後パワハラに発展する恐れがあります。

そのため、希望する曜日や時間帯、週何日まで働けるかなど、自分の希望はしっかり伝えましょう。バイト先によっては、募集をかけたときとは異なるシフトや職種を提示してくるケースもあるため、断りづらいかもしれませんが、無理であればはっきり断ります。

パワハラを防ぐためには、このように自分の希望する条件と無理な条件をしっかり伝えることも大切です。

まとめ

この記事では、バイト先でのパワハラの事例や対処法、辞め方などを解説しました。

上述したように、パワハラを受けているときは、法律に則って即日退職が可能です。バイト先はほかにもたくさんあります。誰かに相談しても解決しなかった場合は、あなたの心と体を守るために、早めに退職することをおすすめします。